夜の帳が下りると同時に、まあるい月が輝き
赤レンガ倉庫と芝生のステージが浮かび上がった。

井上馨介さんの奏でるジャズトランペットの音色が響き、
その影がレンガの壁に大きく映し出される。

ろうそくが揺れる幻想的な空間に現われた袴姿の鈴木宥仁さんは、
凛として所作が美しい。
トランペットとのコラボレーションは見事に調和し、
静かに見つめる人々の心を捉えていた。

時折すーっと風が吹き、人と人の間を抜け、ろうそくの炎を揺らし、
赤レンガ倉庫の上へとのぼっていく。
飛白体の書とともに、まるで月の神様も舞うかのように―。

明治に建てられたというお茶屋さんの倉庫、ジャズの調べ、そして優雅な書…。
素敵な夜に感謝。